バッテリー式ラジオの動作方法

(初心者の方或いは、チャレンジャーの方のみお読みください。)

ここでは1920年代の主にUX201Aを使用したバッテリー式ラジオの動作方法について説明します。

 

バッテリーの種類

先ず、ラジオを動作させる為には、Aバッテリー、Bバッテリー及び、Cバッテリーが必要になります。ラジオによってはCバッテリーが要らない場合もあります。また、現在アメリカで販売されているARBE-IIIと云うバッテリー式ラジオ専用のエリミネーター電源もありますし、ご自分で作成なさるのもよいでしょう。また、当時の標準的なBバッテリーの複製品も販売されています。

Aバッテリー(1〜6V)とは、真空管のフィラメント用電圧なので使用する真空管により異なりますが、ここではUX201Aを対象にしているので6Vのバッテリーで充分です。Bバッテリー(22.5V,45V,65V,90V,135V)とは、真空管を動作させる為に必要なプレート電圧です。しかし、B電圧はそれほど厳密な電圧でなくとも良いので、適当な12Vのバッテリーを幾つかシリーズに接続して大体の電圧が取れれば充分です。また、12Vバッテリーが大掛かりと思う方は、9V乾電池(006P)でもOKです。Cバッテリー(-4.5V)とは、グリッドバイアスに必要な電圧のことです。

左が6V 100AhのAバッテリー、右が6連12V Bバッテリーです。このBバッテリーでは72Vまでしか出ませんが問題なく動作します。

こちらはCバッテリーとして使う乾電池。べつに3Vでも問題ありません。

 

バッテリーの接続

バッテリーの接続は先ず、A+とA-を間違えないように指定された端子に接続します。次に幾つか繋げた12Vのバッテリーを用意し、22.5V(24V),67V(72V),90V(96V)のタップを出しておきます。Bバッテリーのマイナス側をAバッテリーのプラスに接続し、22.5VをDETへ、67Vを高周波増幅段へ、90VをB+へそれぞれ接続します。バイアスを必要とする場合は、適当な1.5V乾電池を用意して三つか四つ束ねて必要なバイアス電圧を作り、Cバッテリーのプラス側をAバッテリーのマイナス側に接続し、バイアス電池(Cバッテリー)のマイナス側をグリッドバイアス用の端子に印加します。

バイアスを掛けないで使用する場合は、-Cのケーブル或いは端子を-Aに接続してください。この時、+Bの電圧は多少低めが良いでしょう。 要は、バイアス用の電源は無くてもOKです。元々、古いラジオにはバイアスの概念が無かった為、0バイアスで使うラジオが殆どでしたが、1924〜5年の物からバイアスを掛ける回路が多くなりました。 

注) ここでは標準的?なラジオの電源接続を示していますが、Atwater Kentのブレッドボードタイプや一部のラジオでは、B-の接続がA-と接続する場合もありますので注意が必要です。これら以外の標準的なラジオの場合、この様な接続をすると感度が著しく低下します。

因みに、酔っ払いながらの接続は止めたほうが良いでしょう。マジで・・・。

Bバッテリーはこんな感じで接続しますが、検波(22.5V)以外のB電圧(高周波増幅段45V/67Vライン)は適当に電圧を変えてみて、一番感度の良いところに合わせて頂いて結構です。当然、+Bは100V以下であれば一番高い電圧の端子に接続します。

注) 201Aの様なトリウムタングステンフィラメントの真空管には、あまり高いプレート電圧を掛けない方が無難です。規定値に拘らなくとも、ちゃんと動作するので真空管を労りながら使いましょう。しかし、低周波増幅のファイナルにUX112やUX171Aの様な酸化皮膜フィラメントのカソードを持つパワー管を使用する時は、きっちり規定のフィラメント電圧とプレート電圧及びバイアス電圧を掛けてやる必要があります。

バッテリー式ラジオ専用エリミネーター電源ARBE-IIIを使用したときの接続。基本的にはバッテリーの接続と同じです。

 

パワーケーブル式のラジオで、どの線が何Vかわからない時は下記の表を参考にしてください。

+A/-B

大抵、赤の太い線が+Aです。真空管を抜き、スイッチをOFFした状態で筐体アースと導通のある線です。

-A/+C

大抵、黒の太い線が-Aです。真空管を抜き、スイッチをONした状態でケーブルと真空管ソケットのフィラメント側で導通があるか、抵抗値の低い方です。
+22.5V 検波管ソケットのプレート側と導通のあるケーブルです。 若し、どの線とも導通がなければ、低周波トランス一段目の一次側が断線しています。
+45/+67V 高周波増幅段のどの真空管のソケットでも構いませんが、プレート側と導通のあるケーブルです。 若しも、導通の無いソケットがあれば、高周波コイルの一次側に断線があります。また、低周波増幅一段目のプレート電圧もこの電源を使用していることが多いです。但し、45Vが指定されている場合は大抵、高周波増幅段及び検波管が共用です。
+B(90/135V) スピーカー端子の何れか一方と導通のある線です。
-C 低周波増幅二段目の真空管ソケットのグリッド側と導通のあるケーブルです。若し、どの線とも導通がなければ、低周波トランス二段目の二次側が断線しています。因みに、全ての真空管にバイアスを掛けているラジオも有りますので注意してください。(Radiola 26等)

 

スピーカの接続

接続端子がある物と(例Atwater Kent 33)、端子が無く只差し込むだけの物とがあります(例Atwater Kent 20c)。スピーカーの端子は必ずBバッテリーを繋ぐ前に接続してください。若しも電源が入ったまま接続して内部の回路に接触すると、真空管がいっぺんにポアされます。

 

チューニング

(3or2ダイヤル編)

スピーカーとバッテリーの接続が完了し、電源を入れ、真空管が全て点灯している事を確認しておきます。問題が無いことを確認したら、先ず、自分の住んでいる地域の一番強い放送局を探します(選局が楽な為)。この時、ラジオの高周波段用のレオスタットを調節してフィラメント電圧を多少高めに掛けておき(4〜5V程度)、放送が受かりやすくしておきます。3ダイヤルの物であれば、高周波増幅段のダイヤルを大体の位置に合わせておき、検波段の同調をしっかり合わせます。次に、二段目、一段目と同調を取っていき、一番感度が良くなるように全体のダイヤルを微調整します。後はその放送局を基準に少しずつ同調をずらし目的の放送を探します(2ダイヤルの物も同様です)。この時もレオスタットを調節しながら感度を上げ下げし、同調しやすくしてやり放送の音量に合わせて高周波増幅段のレオスタットを調節しながらボリュームとします。尤も、この作業が一番根気のいる作業ですが、慣れてしまえば十秒以内で出来るようになります。

最初に大体の位置(放送があるであろう波長)に合わせておき、高周波増幅の感度を十分に上げておきます。 放送が聞こえ出したら検波段をチューニングします。 写真のダイヤル位置ではNHK第一にチューニングしました。

 

次に、高周波増幅二段目をチューニングします。

 

最後に、高周波増幅一段目をチューニングしますが、この時かなり大きな音で受信できると思いますので、高周波増幅段のレオスタットを調節して丁度良い音量になるように調整します。

 

後は、全てのダイヤルを微調整し、最良の感度が出る位置で終了です。

 

最初は高周波増幅の感度をあげて同調を取りますが、最終的には右の写真くらいまでに感度を絞ることができるでしょう。

 

(1ダイヤル編)

上記で述べた事は言うまでも無く、高周波増幅段の電圧調節と低周波段の電圧調整しかないので、極めて簡単。

これだけです。

 

(再生式編)

選局時に再生を多少深く掛けておき、チューニング時に発振が起こる辺りに放送があるので、そこで再生とチューニングを微調整して一番聞きやすいところで聴いてください。基本的には真空管のフィラメント電圧調節しかないので、扱いは上記同様です。

 

尚、この記事に基づきラジオを動作させようとして、接続ミスによる真空管のフィラメントの断線や火災等、一切の責任は負いかねます。回路が正しいか(ショートなど無いか)、電源の接続は正しいか等、十分な注意をはらって行ってください。

だいたい、70〜80年も前の物を使ってしまおうと言うのだから、先ず鳴らないのがあたりまえです。正しい知識を身に付けてから行いましょう。 尤も、ご覧の皆さんはプロの方が多いと思いますので大丈夫でしょう・・・。

でも。

もし壊しちゃってもワシのせいぢゃないのね・・・。

 

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